数日間、お仕事をしていました。
内容は、とある日本のグルメ雑誌の取材コーディネート&通訳だったのだけど、いや、もう、本当に楽しかったです。ああいう落ち着いた大人雑誌(とりわけ「食」とか「旅」がテーマ)の取材業務っていうのは、仕事なのか趣味なのか、区別がつかないぐらい境界線があやふやな感じで、いいお仕事だなぁ、と心底うらやましくなってしまいました。日本から来られた編集長さんとライターの方も本当にいい方で、ふーむ、幸せな仕事をしていると、人間ってこんな風に余裕が出てくるものなのかなぁ、と感じてみたりして。
関係ないけど、普段は私の仕事にはあまり興味がなさそうな相方が、今回の仕事に関しては何かと口を挟みたがって面倒でした。なんてったってテーマが「グルメ」なもんだから。いつになくマメに電話してきて、最後に「何かあったら僕にも聞いてね」と毎回付け加え、最後には「その仕事は、本当は僕みたいなのが適任なのになぁ」とほざいてました。おい。
しかし、取材の関係で吐くほど食べまくり(実際、数回は吐いてすっきりしてから復活)、すっかり家事をやる気が損なわれたワタクシ。そんな訳で、先週末は家事放棄でポロネズキョイに家族でご飯を食べに行ってきました。
ポロネズキョイっていうのは、イスタンブールの我が家からだと車で一時間もかからないで行ける場所。1775年頃、オーストリア、ロシア、プロシアに占領されたポーランドから逃げて来た多くの移民を、当時のオスマントルコ帝国政府が受け入ることにし、ポロネズキョイ一帯を住居場所として提供したのだそうです。移り住んだのは主に将校、兵士、詩人、皇太子などで、クリミア戦争時には、彼らはオスマン軍に協力して参戦したのだそう。
移住してきたポーランド人たちは、ここにコロニーを作り、宗教・言語・生活習慣・生活様式など、全てポーランド時代と何一つ変えることなくここで暮らし続けたのだそうです。そんな訳で、この辺一帯は今でも豚肉を食し、教会があり、在住している人々の人種はポーランド系だったりします。
(ポロネズキョイの教会)
といっても、多くのポーランド移民はその後オーストリアやドイツに出稼ぎ移民として逆流出し、残った人々も最近ではペンションやレストランの経営を始めるようになり、昔ほど「ポーランド色」を感じるような場所ではなくなっていると思います(私感)。でも一応、今でもポーランドから政府首脳などがトルコに来ると、ここにも寄って行ったりするのだそうです。あと、年に一度、「さくらんぼ祭り」というのがポロネズキョイの教会で開催されていて、その写真を見てみたら、こりゃートルコじゃなくってポーランドだわ、的な画像でした↓。
(wikiから拝借)
で、今のポロネズキョイはどんなか、というと、エリア的にも小さすぎるし、これといった見どころがあるわけでもないので、「まあ、暇だし、ポロネズキョイでも行くか」的なゆるーい感じで週末なんかに行く場所になっています。基本的には「お金のあるおっさん&その金に釣られた若いお姉さん」の不倫デート場所のメッカ。行くカフェ、レストラン、どこにいってもそういうカップルでいっぱいです。週末の隠れ家って感じなのでしょーか? ふむ。
あ、でも自然はいっぱい残っていて空気がきれいですよー(←いまさら?)
で、我々はそういう不倫カップルに囲まれつつ、「
Karcma Kriha」というレストランに行きました。しかしこれ、どう見ても、トルコ語表記じゃないですよね。どうやって読むのかは謎。
でも、レストランからの景色は良かったです。ここスイス?みたいな。ピーターがヤギ連れてカラカラ歩いてきそう。
だけど、ご飯はなかなかイケました。特に、トルコ飯に飽きている方だったらすごくうれしいかも。
まず、オリーブとピクルスとパン↓。この辺は、ま、普通。でも、おいしかったよ。
↑こちらは「ボルシチ」です! 映像は食べ途中でイマイチなのが残念なのだけど、味はかなりいけた! 背後に見える生クリームを入れて飲む、本格派。
↑こちらは「ボレキ」ってメニューには書いてあったのだけど、ポロネズキョイ独特のものらしく。見かけはなんだか「コロッケ?」って感じだけど、中身を一度ユフカで巻いて、それから揚げてある感じで、美味でした!脇に置いていある ソースが独特で、日本の「ウスターソース」風。ふーむ、こうやって食べると、かの「ボレキ」もいきなりヨーロッパ的になってしまうのね。
↑今回の収穫はなんといってもこれでしょう。「ポルチーニのギュベチ」!(ギュベチというのは、素焼きの浅いお皿のことで、ここに食べ物を入れて直接オーブンで焼く料理全般を指します、多分)。
新鮮なポルチーニがこんなにたっぷり! おいしいよー。クリームソースっぽいあたりもトルコ料理的ではないのでうれしいですね(なんと言っても赤くない)。
うっかり、この辺では常時ポルチーニが入手できるのかと思ってギャルソンさんにポルチーニの入手先を聞いてみたのですが、イタリアからの直輸入だそうです。なんだ。
あとは、メインディッシュ3品(食べ過ぎだって?)
↑Antrikotのステーキ。
↑Bonfileのステーキ、ポルチーニソースがけ。
↑トル子のキッズ・キョフテ。これは結構普通な上に、お子のためには野菜なさすぎ。
このステーキたちのいいところは、注文時にちゃんと焼き方を聞いてくれること。そして、「ミディアム」と注文すると、本当にちょうどいい「ミディアム」が出てくること!! ……これって、トルコではなかなかないからね。野菜も肉も、カスカスに焼かないと満足できないお国柄ですから。柔らか~くて、切るとちゃんと中がやや赤身のお肉なんですっ。うーん、満足。
この他、豚肉ステーキもちゃんとありましたよ。
ただ、ポーランド独特の、りんごでできた甘酸っぱいソースがかかっているのだそうで、その辺がちょっと私の趣味ではなかったので注文しませんでした。
↑こちらは、デザートに食べたリンゴパイ(食べかけ御免)。
日本人の私としては、もっと周りがサクっとして欲しかったけど(要はパイ部分がふにゃっとしてた)、相方的には満足だったとのこと。
写真はないけど、イスタンブールで時々見かける「チョコレートスフレ」(注文を受けてから焼くやつ)があり、ワタシ的にはそれが美味だったかな。
その後、農家で獲れた卵(Koy Yumurta)を買いたくて、ポロネズキョイ中心地をふらふら。
関係ないけど、↑こんな乾燥カボチャだらけのおうちがありました(売っているのだろうか?)。
で、卵は結局このおばちゃんから購入↓。
新鮮な卵、13個もお買い上げです。
(このおばちゃん、服装はトルコだけど、人種はポーランドかなぁ?)
仕事といい、このポロネズキョイといい、食べ過ぎでどんどん大きくなってゆくお腹(体?)ですが、まあ、よしとしましょう。女子が人生で唯一カロリーや量を気にせず食いだおれられるのは、この妊娠期だけだからね(言い訳?)。ふう。しかし、お腹が重くなってきた。